りようじ 体八会社産業経済社社長・隔週刊経済誌「帝都経済」主幹の杉野良治の妻、文子が肺癌 ( 幽明驪にしたのは、平成七 ( 一九九五 ) 年十一一月一一十九日正午一一十分過ぎのことだ。 杉野は午後一一時過ぎに都内を走行中の専用車リムジンの中で妻の訃報を聞いた。 電話をかけてきたのは秘書役の左である。綾は四十六隲の肩書は秘書役だが、 産業経済社のナンバー 2 で、財務・経理部門を一手に握っていた。 会「文子さんが亡くなったそうよ。たったいま、治子さんから電話があったわ」 狎れが出ているのは仕方がないが、いつになく緊張気味で声がかすれていた。 一「ふうーん。治子から : : : 」 「そうよ。治子さんよ。わたしが直接電話に出たから間違いないわ。治子さんも、わたし とわかったみたい。よそよそしいっていうか、つんつんした感じの電話だったわ。『一応 5 第章再 第一章再会 ふみこ
本書は文庫のために特別に書き下ろしたものです
目次 第一章再会 第ニ章叙勲プロジェクト 第三章書き人れ時 第四章ロスで″歩又 第五章情事のあとで 第六章腐れ縁 第七章目糞鼻糞 第八章亀谷総合病院で 第九章逆転人事 第 + 章本領発揮 解説佐高信 181 519 282 252